受け継がれた標し
平成23年(2011年)9月21日、日本列島は「台風15号」の上陸により大きな被害を受けました。当時、旧社殿であった大和天満宮におきましても暴風に耐えきれなかった敷地内の樹木達が、次々とその犠牲になりました。
例大祭での神輿「宮出し・宮入り」の際、敷地南西側の出入口を使用していましたが、そこに門の役割を果たしていた2本の木がございました。その2本のうちの1本が耐えきれずに崩れ落ちてしまいます。
もう1本は、倒れかけながらも必死にこらえていますが、崩れ落ちるのも時間の問題であると判断し、消防車による牽引とチェーンソーでの切断により神社敷地内へ倒すこととなりました。
風に倒されまいと、そして人にも倒されまいとしていたもう1本も、数時間後にとうとう力尽きてしまいます。
永きに渡り大和天満宮の一角を守っていましたが、大自然の力の前ではなすすべもありません。
その時ふと、崩れ落ちた木のそばに実が落ちていることに気づきます。
その木の実を大切に保管いたしました。
平成28年(2016年)10月30日、5年の月日が流れ、大和天満宮は新社殿となり、保管していた木の実は、一枚一枚が種となりました。
あの日から5年。
古き大和天満宮で息づいていた木の実が、
種となり「標(しる)し」となって新社殿の境内に受け継がれました。